高槻市の空き家対策にも！屋根修理・外装メンテナンスのすすめ

2025年4月30日

1. はじめに

近年、日本全国で「空き家問題」が深刻化しています。
少子高齢化、人口減少、都市部への人口集中といった社会構造の変化に伴い、住む人がいなくなった家屋が増加の一途をたどっています。
この波は、自然豊かな側面と都市の利便性を兼ね備え、交通の要衝でもある大阪府高槻市にも例外なく押し寄せています。

高槻市においても、親から相続したものの住む予定がない、あるいは施設への入居や転居で空き家になったといったケースが増えています。
こうした空き家は、適切に管理されないまま放置されると、様々な問題を引き起こし、所有者だけでなく地域社会にも大きな影響を与えます。

今回は、高槻市における空き家が抱えるリスクを掘り下げ、そのリスク回避と資産価値維持のためにいかに「屋根修理」や「外装メンテナンス」といった建物の外側の手入れが重要であるかを解説します。
空き家の所有者様はもちろん、将来的に空き家を相続する可能性のある方、地域の空き家問題に関心のある方にとって、具体的な対策の一助となれば幸いです。

2. 放置された空き家が抱える多大なリスク

なぜ、空き家を放置してはいけないのでしょうか。
そこには、単に建物が古くなるという以上に、深刻なリスクが潜んでいます。

2.1. 建物の急激な劣化と倒壊リスク

人が住まなくなり、換気や清掃が行われなくなると、建物は驚くほど早く劣化します。特に、雨漏りや外壁のひび割れといった外からの水の浸入は致命的です。

雨漏り

屋根材の破損、漆喰の剥がれ、板金の劣化などから雨水が侵入すると、天井裏や壁内の木材を腐食させます。これにより建物の構造体そのものが弱体化し、地震や台風の際に倒壊するリスクが高まります。

外壁の劣化

紫外線や雨風に晒される外壁は、塗膜の剥がれ、ひび割れ、クラックが発生します。ここからも雨水が浸入し、壁内の断熱材を濡らしたり、柱や梁を腐らせたりします。また、タイルやモルタルが剥がれ落ちる危険もあります。

これらの劣化は連鎖的に発生し、放置期間が長くなるほど修繕費用は莫大になります。最終的には修繕が困難になり、解体せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

2.2. 衛生環境の悪化と害獣・害虫の発生

人の出入りがなくなると、建物は湿気がこもりやすくなります。これによりカビやコケが繁殖し、不衛生な環境が生まれます。また、建物の隙間や開口部からネズミ、ゴキブリ、シロアリ、ハクビシン、イタチなどの害獣や害虫が侵入し、営巣することがあります。

これらの害獣・害虫は建物をさらに傷めるだけでなく、糞尿による悪臭、騒音、感染症のリスクをもたらし、近隣住民に多大な迷惑をかけます。

2.3. 景観の悪化と地域のイメージ低下

手入れのされていない空き家は、雑草が生い茂り、庭木が伸び放題になり、外壁は汚れ、窓ガラスは割れているといった荒廃した状態になりがちです。このような建物が地域に点在すると、街全体の景観を損ね、地域の活力を失わせる要因となります。周辺の住民は不安を感じ、地域のイメージ低下にもつながります。

2.4. 放火や不法投棄のリスク

管理が行き届かない空き家は、人目につきにくいため、不審者が侵入したり、放火の標的になったりする危険性があります。また、建物の敷地内にゴミや粗大ゴミが不法投棄されるといった被害も発生しやすく、衛生的な問題や処理費用の負担につながります。

2.5. 所有者の法的・経済的負担増大

平成27年には「空き家対策特別措置法」が施行され、管理不全な空き家は「特定空き家」に指定されることがあります。「特定空き家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が解除され、税金が最大で6倍になる可能性があります。さらに、市町村からの改善命令に従わない場合、過料が科されたり、行政代執行による解体が行われ、その費用が所有者に請求されたりすることもあります。

また、空き家の劣化が原因で近隣の建物に損害を与えたり、通行人に怪我をさせたりした場合、所有者は損害賠償責任を問われる可能性があります。

3. なぜ、屋根修理と外装メンテナンスが空き家対策の要なのか？

前述したリスクの多くは、建物の外部、特に屋根や外壁といった「外装」の劣化から始まります。これらの部分こそが、建物内部を守る第一のバリアだからです。空き家対策を考える上で、屋根修理と外装メンテナンスは最も基本的かつ重要な対策と言えます。

3.1. 雨水の侵入を徹底的に防ぐ

建物を傷める最大の原因は「水」です。屋根材の小さなひび割れ一本、外壁の塗膜の劣化一つからでも雨水は確実に侵入し、建物の寿命を縮めます。

屋根の重要性

屋根は常に太陽の紫外線、雨、風、雪、雹（ひょう）といった厳しい自然条件に晒されています。屋根材（瓦、スレート、金属など）自体や、棟板金、谷板金、雨樋との接合部、換気棟などは時間とともに劣化します。これらの部分に破損や隙間ができると、雨水が建物内部に浸入し、野地板、垂木、梁といった構造材を腐食させます。一度木材が腐ると、強度が著しく低下し、建物の耐久性が失われます。

外壁の重要性

外壁も雨風を防ぐ重要な役割を担っています。外壁材（サイディング、モルタル、タイルなど）や塗膜が劣化すると、防水性能が低下します。特にモルタル壁に発生するひび割れや、サイディングのシーリング材の劣化は、雨水の浸入経路となります。外壁からの雨水は、壁内の断熱材を濡らし断熱性能を低下させるだけでなく、柱や土台といった構造材を腐らせる原因にもなります。

屋根と外壁の適切なメンテナンスは、これらの雨水の侵入経路を断ち、建物の構造体を健全に保つために不可欠です。

3.2. 建物の寿命を延ばし、資産価値を維持・向上させる

定期的なメンテナンスは、建物の寿命を大幅に延ばします。軽微な劣化の段階で修理を行うことで、大規模な修繕や建て替えが必要になる時期を遅らせることができます。

また、見た目の美しい外観は、それだけで資産価値を高めます。将来的に売却や賃貸を検討する場合、外装がきれいな物件は買い手や借り手が見つかりやすく、希望に近い価格で取引できる可能性が高まります。逆に、外装が荒廃している物件は敬遠されがちで、大幅な値引きが必要になったり、買い手がつかなかったりすることもあります。屋根や外壁のメンテナンスは、単なる修繕ではなく、将来の選択肢を広げ、資産価値を守り、さらには向上させるための「投資」と考えるべきです。

3.3. リスクを未然に防ぎ、近隣とのトラブルを回避

屋根材の飛散、外壁材の剥落、雨樋からの排水不良による隣地への影響など、建物の外装の不具合は近隣に迷惑をかける直接的な原因となります。定期的な点検とメンテナンスを行うことで、こうした事故やトラブルを未然に防ぎ、良好な近隣関係を維持することができます。これは、空き家所有者としての社会的な責任でもあります。

4. 空き家に対する屋根・外装メンテナンスの具体的なステップ

では、高槻市の空き家所有者は具体的にどのようなステップで屋根・外装メンテナンスを進めれば良いのでしょうか。

4.1. 現状の把握：専門家による建物の点検

まずは、建物の現在の状態を正確に把握することが重要です。特に空き家の場合、所有者自身が建物の状態を詳細に確認することが難しい場合があります。屋根の上や外壁の細部など、専門家でなければ気づけない劣化や損傷も多く存在します。

地域の信頼できる屋根工事業者や外壁工事業者、または建物診断の専門家に依頼し、建物の全体的な点検を行ってもらいましょう。特に以下の点を重点的にチェックしてもらいます。

屋根

屋根材のひび割れ、欠け、ズレ、浮き。棟板金や谷板金の錆びや浮き。漆喰の剥がれ。雨樋の破損や詰まり。防水シートの劣化。

外壁

塗膜の剥がれ、色褪せ。ひび割れ（クラック）の有無と大きさ。目地のシーリング材の劣化（ひび割れ、肉やせ）。外壁材自体の破損や浮き。コケやカビの繁殖状況。

その他

破風板、軒天、雨戸、戸袋、バルコニー、ベランダ、付帯部分の劣化。基礎部分のひび割れ。

点検業者からは、建物の状態、必要なメンテナンス内容、緊急性についての報告を受け、できれば写真や動画で具体的な状況を確認させてもらいましょう。

4.2. 修繕計画の策定：優先順位と予算

点検結果に基づき、必要な修繕箇所と内容を洗い出します。空き家の状態によっては、全ての箇所を一度に修繕するのが難しい場合もあります。その際は、雨漏りなど建物の構造に関わる緊急性の高い箇所から優先順位をつけて計画を立てることが重要です。

複数の業者から見積もりを取り、内容と金額を比較検討します。見積もりには、作業内容、使用材料、工期、保証の有無などが明記されているか確認しましょう。不明な点があれば遠慮なく質問し、納得いくまで説明を受けることが大切です。

空き家対策に関連する高槻市の補助金制度などがあるか、市の担当窓口に相談してみるのも良いでしょう。
（※制度の有無や内容は変更される可能性があるため、必ずご自身で最新情報を高槻市にご確認ください。）

4.3. 信頼できる工事業者の選定

屋根や外装の修繕は専門的な知識と技術が必要です。安易に飛び込み営業や訪問販売の業者に依頼することは避けましょう。以下の点を参考に、信頼できる工事業者を選びましょう。

地元の業者: 高槻市や近隣地域で長く営業している業者は、地域の気候特性を理解しており、何かあった際のフットワークも軽いです。地域の口コミや評判も参考にできます。

施工実績: 空き家や同様の物件の施工実績が豊富か。これまでの事例を見せてもらうのも良いでしょう。

資格や許可: 建設業許可や関連する資格（建築板金技能士、建築塗装技能士など）を持っているか。

丁寧な対応: 点検結果や見積もり内容を分かりやすく丁寧に説明してくれるか。質問に誠実に答えてくれるか。

適正な価格: 極端に安すぎる見積もりは、手抜き工事や後から追加費用を請求されるリスクがあります。適正な価格かどうか、複数の見積もりを比較して判断しましょう。

契約内容: 契約書の内容をしっかり確認し、工事範囲、金額、工期、支払い条件、保証内容などを明確にしてから契約しましょう。

4.4. 定期的なメンテナンスの実施

一度修繕を行えば終わりではありません。建物を良好な状態に保つためには、定期的な点検とメンテナンスが必要です。築年数や建物の状態にもよりますが、数年に一度は専門家による点検を受けることをお勧めします。早期に劣化を発見できれば、費用も時間もかけずに修繕できる場合がほとんどです。

遠方に住んでいて頻繁に高槻市の空き家を訪れるのが難しい場合は、空き家管理サービスを利用するのも有効な手段です。管理サービスには、定期的な巡回、換気、清掃、簡易点検などが含まれていることが多く、建物の状態を把握し、必要なメンテナンスのアドバイスを受けることができます。

5. 屋根・外装メンテナンスは「負」の資産化を防ぐ最善策

空き家は、何もしなければ時間とともに価値が低下し、維持管理費用や税金だけがかかる「負」の資産となりかねません。しかし、適切な屋根修理や外装メンテナンスを行うことで、その流れを食い止め、再び活用可能な「資産」へと転換させることができます。

例えば、きれいな状態に保たれた空き家であれば、売却を検討する際に有利になります。購入希望者が見つかりやすく、リフォーム費用を抑えられることから、より良い条件での売却が期待できます。賃貸物件として活用する場合も、入居希望者が見つかりやすくなり、家賃収入を得ることも可能です。

また、「特定空き家」に指定されるリスクを回避できることも、経済的なメリットとして非常に大きいです。固定資産税の増額や過料といった負担を回避できます。

高槻市では、まちの活性化のために空き家の活用を推進する動きもあります。所有する空き家を地域の資源として捉え、リノベーションして活用するといった道も開けてきます。その際にも、建物の基本構造が健全であることは大前提となります。屋根や外壁がしっかりしていれば、リノベーションの選択肢も広がり、費用も抑えられます。

6. まとめ：高槻市の空き家と未来のために、今できること

高槻市における空き家問題は、単なる個人の問題ではなく、地域社会全体の課題です。管理放棄された空き家が増えれば、まちの安全性や魅力が失われ、住みにくい環境になってしまいます。

空き家所有者の皆様にとって、空き家の維持管理は負担に感じることもあるでしょう。しかし、放置することによって生じるリスクや将来的な損失を考えれば、屋根修理や外装メンテナンスといった「予防的な投資」は、結果としてコストを抑え、資産価値を守り、地域に貢献することにつながります。

高槻市の美しい街並みと安全な暮らしを守るためにも、ご自身の空き家、あるいは将来相続する可能性のある実家などの状態に関心を持ち、定期的な点検と適切なメンテナンスを検討してみてください。どこに相談すれば良いか分からない、費用が心配など、不安な点があれば、まずは地域の信頼できる専門業者や高槻市の関連窓口に相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

空き家を「負」の遺産にしないために、そして高槻市のより良い未来のために、屋根と外壁からのメンテナンスをぜひご検討ください。

ここまでスクロールしていただき、ありがとうございました！